秀和 日本囲碁大系 第14巻

秀和は、秀策や丈和、秀栄に比べると一ランク地味な扱われ方をしているが、当時としてはそこそこ寿命を保ち、非常に多くの棋譜を残している。秀策の御城碁全勝に比べれば神話的な部分はないが、それでもその成績は抜群で、ことごとく当時の他棋士を圧倒している。激動の時代にあって晩年は不遇だったが、よくこらえて極めて美しい棋譜を遺して、我々にもっと強くなれる素材をたくさん提供してくれている。その打ち方は極めて現代的であり、大模様の碁にも、乱戦にも、持久戦にも独特の手法で応え、しっかり目測して相手を抜き去り、あるいは置き去りにしていく。こうした古碁を見渡してみても、秀和についてこれを学習することは極めて楽しく、そして碁についての知見を広めてくれることになる。刊行されて４０年、かつての新本もそろそろガタがくるころである。今後同様の書籍の出版は難しい。古書でしか入手できないが、お手元にある人も、ないひとも1冊だけでなく2冊求めてこれからのよすがとされますよう。