３手詰修了検定 (マイナビ将棋文庫)

「いや～、凄い。」この詰将棋の問題を１問解いた後、何度感嘆の声を上げただろう。本当にその一言しか出てこない。３手詰でここまで難しい問題集は初めてだ。他の詰将棋と比べてみるが、本書は「３手詰傑作選」の３～５倍は難しい。簡単な５手詰を解いていい気になって本書を買うと、途中で挫折するかもしれないので注意。伊藤さんの詰将棋は芸術と言っても過言ではない。例えるなら文章だ。文を書くのがうまい人は、短い文でも気持ちや思いなどが伝わる。くどく無くてスッキリしている。それと同じで、伊藤さんの詰将棋も、「３手」という短い手数なのに膨大な変化が潜んでいるものが多々ある。１問解くのに３分以上かかったものもある（ちなみに当方アマ二段）。さらに入玉・双玉問題まであり、実戦であまり現れない形なので、とても面白い。実戦で役立つというより、娯楽のような感じか。確かに、この問題すべてを解くことができれば、３手詰は卒業してよいだろう。全部解ける人は絶対に有段者並みの終盤力があるはずだ。他のレビューで、余詰めがあると記載されていたが、５ページ・詰将棋のルールに、「⑤攻方は迂回手順を避けて最短で詰ます」と、しっかり記載されている。つまり、不詰めの問題以外は、すべて３手以内で詰ましなさいということである。第６問に、【紛れ】で、初手☗２二角引成は☖４一玉以下逃すと書かれているが、そのレビューを書かれた方はそこからでも詰むということを指摘されたわけだが、３手詰解こうとしている人間が２１手詰の方の順で解く人はまず、いないだろう。でも逃してないのに「逃す」と言っているのは少し気になるところだが。本当に素晴らしい３手詰。これを超えるものはないのではないかと思わされるほど難しかった。詰将棋の面白さを再確認させられるとともに、詰将棋の新たな可能性も感じさせられた。詰将棋に自信がある方は是非。